A.R.M.S. - EAST/WEST: STEREO SOUNDBOARD MASTER(3CD) [Beano-270]
A.R.M.S. - EAST/WEST: STEREO SOUNDBOARD MASTER(3CD)
[Beano-270]
販売価格: 4,500円(税込)
商品詳細
★在庫切れの場合取り寄せ(1週間で入荷)
★ギフト・タイトル(一部レーベル限定)の対象品です。
Cow Palace, San Francisco, CA, USA 3rd December 1983 STEREO SBD(from Original Masters)
Madison Square Garden, New York, NY, USA 9th December 1983 STEREO SBD(from Original Masters)
【“三大ギタリスト揃い踏み”奇跡のステージをリアルに伝えるステレオ・サウンドボード録音の完全版!】
1983年にたった一度だけ、三大ギタリストが同じステージに立ち共演した“奇跡の”コンサート、ARMS。もはやロック界の伝説ともなっているコンサートですが、今回、イギリス在住の重鎮テーパーから、ARMSコンサートの衝撃のマスターが到着しました。三大ギタリストを含む、英米のベテランミュージシャンたちがアメリカで行なったARMSコンサートの最終公演地、ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデンでの12月9日のコンサートをメインに、欠落部分を12月3日のサンフランシスコ、カウパレス公演のソースで補填した、マスターVHSテープからデジタルコピーしたロウジェネレーションマスターです。当時この2日間は正式にビデオシューティングが行なわれましたが、オンエアされることはありませんでした。ミュージシャンの契約関係等の複雑な問題があったためと思われます。しかし当時この2日間の映像は関係者から流出し、VHSとして日本でも出回りました(MSG映像の方は、流出時点からクラプトンのセットは未収録でした)。その大元の関係者から流出したファーストジェネレーションVHSの音声をデジタルコピーしたものが、今回重鎮テーパーが提供してくれたマスターだったのです!今回、重鎮テーパーは、同じくイギリスでは有名な同僚テーパーからこのマスターを入手したとのことです(両日の音声がいつの時点で合体されたのかは不明です)。筋金入りの出所ゆえに、衝撃のマスターと呼ばせていただきました。
この音源そのものは、かつて「ARMS CONCERT U.S.A.」というタイトルの紙ジャケ3CDでリリースされたことがあります。しかし今回のマスターと聴き比べてみたところ、ドラムのシンバルやスネアのサウンドに顕著なように、既発盤にあった音の「滲み」や「ぼやけ」がまったくなく、クリアでダイナミックな音質でした。さすが、ロウジェネマスターというわけでした。ですので、既発盤をお持ちの方にもご注目いただきたいですし、お持ちでない方ならもちろん本作でARMSのアメリカンツアーの全貌を把握し、お楽しみにいただければと思います。
さて、A.R.M.S.コンサートとは、「ロックファンなら誰もが待望しながら、実現不可能と思われていたコンサート」でした。長年のブリティッシュロックファンの方なら、これがいかに歴史的な事だったのかご理解いただけると思いますが、そうでない方のためにも、イチからこのA.R.M.S.プロジェクトの経緯と概要をご説明していきましょう。
A.R.M.S.とは、「Action Research into Multple Sclerosis」の頭文字を取ったもので、直訳すれば「多発性硬化症への治療対策調査行動」となります。多発性硬化症は不治の病と言われ、時間の経過とともに身体じゅうの筋肉が硬化していき、終には不随意筋である心臓が止まり死に至ります。原因不明と言われ、遺伝体質にも関係なく突発的に発症する難病です。77年にこの病を発症した元フェイセズのベーシスト、ロニー・レインを救うため、この病気の治療研究機関への援助資金調達のためにロニーに所縁のあるミュージシャンたちが集まってコンサートを開き、その収益をすべて寄付したコンサートだったのです。
コンサートの企画開催に際しては、ロニー・レインの奥さんがロニーの親友ミュージシャンであるザ・フーのピート・タウンゼンドに援助を求めました。ところがこの時期のピートは、バンドの存続危機、家庭崩壊・離婚の危機に直面しており、そのストレスから逃れるためアルコールとドラッグの中毒に陥っているという状況でした。そのためピートはこの大役をロニーとの共通の友人でもあるエリック・クラプトンに振るべく話を持ちかけました。ロニーの身を案じたクラプトンがそれを快諾し、プロデューサーのグリン・ジョンズ(クラプトンのアルバム「SLOWHAND」や「BACKLESS」、ザ・フーの「WHO'S NEXT」やビートルズの「LET IT BE」の初期バージョンをプロデュースしたイギリス人)の協力を得てオーガナイズしたのがこのコンサートだったというわけです。
クラプトンは、人格者で誰にも愛されているロニーのためのコンサートであるならば、自身のバンドだけによるチャリティコンサートではなく、コンサートの趣旨に賛同する友人ミュージシャンを集めた豪華なコンサートでオーディエンスに喜んでもらおうと考え、普段では有り得ない出演者を募りました。目玉は自身とベック、ペイジを伴った「三大ギタリスト」+かつてブラインド・フェイスで共に活動したブリティッシュロック界のスター、スティーヴ・ウィンウッドの4枚看板でした。クラプトン自らが、歴代のヤードバーズのギタリスト三人の共演を望んだのです。それを支えるバックメンとして集まったのは、ローリング・ストーンズ、フェイセズのメンバーを始めとするブリティッシュロック界で長年活動してきた実力派のミュージシャンたちでした(メンバーの詳細はクレジットをご覧ください)。出演交渉はクラプトン自身とグリン・ジョンズが行いました。65年の一件(ペイジがクラプトンとのプライベートセッションの音源を無断でイミディエイト・レコードに提供した)以来、絶交していたクラプトンがペイジを誘ったことは驚くべきことでした。ベックとウィンウッドは即座に快諾。また、この話を聞きつけたロッド・スチュワートは自ら出演を申し出たのですが、フェイセズの末期に自身のソロ活動に注力し、一切バンドを顧みなかったロッドの行いに憤怒していたクラプトンが彼の申し出を断ったというエピソードもありました。
そうこうしてメンバーが結集したコンサートは1983年9月20日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行なわれ、第一部がクラプトンのセット、第二部がウィンウッドのセット、第三部がベックのセット、第四部がペイジのセット、そしてアンコールがオールスターによるセットという五部構成とされました。当時はまだ歩行が可能だったロニー・レインもアンコールで登場し、歌いました。そんな奇跡のコンサートを実現させた出演者たちは、ロックの激動時代を切磋琢磨して生き抜いてきた同志でもあり、旧知の仲であったため、当日のステージを全員が楽しんだそうです。そして誰からともなく、「もっとこれを続けたい」という声が出演者内部から発せられました。プロデューサーのグリン・ジョンズはすぐさまアメリカのプロモーターの重鎮ビル・グラハムに連絡を取りました。グラハムは即座にダラス、サンフランシスコ、L.A.、ニューヨークのホールをブッキングし、計9回のコンサートを実現したのです。これはロンドンでの公演に対して、「A.R.M.S. US TOUR」と呼ばれました。ここでA.R.M.S.関連のコンサート全日程を振り返ってみましょう。
●A.R.M.S.
・9月20日:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール(1公演)
・11月28日、29日:ダラス、リユニオン・アリーナ(2公演)
・12月1日、2日、3日:サンフランシスコ、カウパレス(3公演) ←★ココ★
・12月5日、6日:ロサンゼルス、ザ・フォーラム(2公演)
・12月8日、9日:ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデン(2公演) ←★ココ★
【ロンドンでの公演とはメンバーもセットリストも異なり、オフィシャル作品でも聴くことのできないパートを多く含む奇跡のコンサートの完全版】
このロンドンでのコンサートはロック史におけるエポック的なイベントであったことから、当時オフィシャルではVHSビデオとレーザーディスクでリリースされました。しかしソフトへの収録時間の問題から、ハイライト部分のみを編集したダイジェスト版としてリリースされたという背景がありました。それ以降DVDでリイシューされましたが、収録内容は初回のリリース時と変わっていません。ようやく2019年になって放送音源のリリース解禁により、このコンサートのCD化も実現しましたが、映像作品よりも収録曲は増えたものの、完全収録版というわけではありませんでした。一方、「A.R.M.S. US TOUR」ではロンドン公演に参加したスティーヴ・ウィンウッドが都合がつかず不参加となった代わりにジョー・コッカーが参加し、クラプトンとハウスバンドがバックを務めました。それにより当然コッカーのセットは彼のレパートリーとなり、ロンドン公演とは趣きを異にしました。さらにロンドン公演と趣向が異なったのは、ジミー・ペイジのセット中のStairway To Heavenでした。この曲の終盤でペイジがソロに突入するタイミングでクラプトンとベックがステージに登場し、ペイジからソロを引き継ぐ形で二人もソロを取ったのです。この意外な演出にアメリカのロックファンは狂喜しました。そしてアンコールも、コッカー最大のヒット曲With A Little Help From My Friendsがオールスターにより演奏されるという形に変わりました。つまり本作では、オフィシャル作品では聴くことのできない楽曲を多く聴けるということが最大のメリットなのです。そして音質の方は、素晴らしいステレオ・サウンドボードですから、オフィシャル作品に優るとも劣らないクオリティです。
【オフィシャル作品では聴くことのできない曲(オフィシャルCDとの比較)】
オフィシャルリリースされているロンドン公演の放送音源CDでは聴くことのできない曲が本作には多く含まれています。ロンドン公演のCDでは、エリック・クラプトンのセット、ジェフ・ベックのセット、ジミー・ペイジのセット、そしてオールスターによるアンコールは全曲がリリースされていますが、ウィンウッドに代わって参加したジョー・コッカーのセットが聴けないのは当然のことです。クラプトン、ベック、ペイジのセットでも曲が入れ替えられたり、追加されたりしています(ベックのセットでは、元マハビシュヌ・オーケストラのヤン・ハマーが参加しました)。
<クラプトンのセット>
・Who's Lovin' You Tonight
<ジョー・コッカーのセット>
・Don't Talk To Me
・Watching The River Flow
・Worried Life Blues
・You Are So Beautiful
・Seven Days
・Feelin' Alright
<ベックのセット>
・Definitely Maybe
・Blue Wind
・People Get Ready
・Going Down
<ペイジのセット>
・Boogie Mama
<アンコール>
・With A Little Help From My Friends
これほど多くのナンバーがオフィシャルCDには未収録だったのです。「A.R.M.S. US TOUR」はロンドン公演とは別物だったとさえ言えるでしょう。もちろんロンドン同様、甲乙付け難い三大ギタリストの個々のセットとロックファンが夢見た三人共演のシーンが聴きものです。クラプトンはロンドン同様のステージ進行で、ブルージーなプレイを披露しています。その後は、クラプトンとは正式には初共演となったジョー・コッカーをフィーチャー(厳密には75年のクラプトンのL.A.公演にコッカーが飛入りし、タンバリンを叩いたということがありましたが)。このセットではクラプトンがそのまま残り、全力でサポートしています。クラプトンが弾くギターをバックに歌うコッカーのソウルフルな熱唱が聴きものです。当時のジェフ・ベックは独自のフュージョン・ミュージックを確立した時代。アルバム「THERE AND BACK」のメンバーをバックにシャープかつワイルドなプレイを披露していますが、ロンドンとは異なり、ジェフ・ベック・グループ時代のナンバーも披露しているのがファンには嬉しいところです(ボーカルはアンディ・フェアウェザー・ロウが務めています)。ベックのバックバンドがそのまま残りサポートした、続くペイジのセットについては、クラプトンからの声掛けに喜んで参加した彼でしたが、当時のペイジはボンゾを失いZEPを解散させたショックからドラッグ中毒に陥り、その影響から指がまともに動かない状態でした。再起を賭けてサントラのソロアルバム「DEATHWISH II」をリリースしたばかりだったペイジは、本調子ではないものの、そのアルバムからのナンバーに加え、ZEPの名曲「天国への階段」をインストで演奏するというハイライトを作っています(前述したように、三大ギタリストの共演が早くもここで実現します。ボーカル曲は、これがきっかけでThe Firm結成に繋がったポール・ロジャースが友情出演で歌っています)。そしてオールスターのアンコールにて、三大ギタリスト(+コッカー)の奇跡の共演が実現します。バンマスがクラプトンだっただけに、彼のレパートリーが選ばれていますが、逆にLaylaの7連フレーズをベックが弾くという贅沢なシーンが現出するのは、このコンサートならではの妙味でしょう。後奏では三人でソロが回されます(ペイジはミストーンが目立ちますが)。最後にはロニー・レインが登場。クラプトンもよく取り上げたブリティッシュカントリー・トラッドソングGoodnight Ireneでボーカルを聴かせます。ここではロニー・ウッドも駆けつけて参加しています(ウッドが参加したのは最終日だけでした)。終演後には、プロモーターのビル・グラハムによる参加メンバーの紹介がありますが、盛り上がったロニー・レインが「今日で全員解雇だ!」と叫び、笑いを誘うシーンもあります。それを受けて、「(オーガナイザーの)グリン・ジョンズは?」と口を挟んでいるのはロニー・ウッドです。それに対し、レインは「グリン・ジョンズもクビ!」と叫んでいます。こんな面白いシーンも余すところなく収められています。この仲間たちのおかげもあって、ここから14年間生き長らえることができたロニー。ブリティッシュロック界の厚い友情をも感じることができる一大歴史的コンサートでした。
とにもかくにも結果的に三大ギタリストが同じステージに立ったという機会は後にも先にもこの時だけ。三大ギタリストが弾くLaylaやStairway To Heavenが聴けたのもこの時だけ。その歴史的なコンサートの高音質ステレオ・サウンドボードマスターを収録したのが本作です。この奇跡を永久に残すプレス3CDで心ゆくまで存分に味わい尽くしてください。
★★これは凄いです。
★ナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。
Disc:1 (63:03)
Cow Palace, San Francisco, CA, USA 3rd December 1983
ERIC CLAPTON
1. Introduction
2. Everybody Ought To Make A Change
3. Lay Down Sally
4. Wonderful Tonight
5. Rita Mae
6. Who's Lovin' You Tonight
7. Have You Ever Loved A Woman
8. Ramblin' On My Mind
9. Cocaine
Madison Square Garden, New York, NY, USA 9th December 1983
JOE COCKER
10. Don't Talk To Me
11. Watching The River Flow
12. Worried Life Blues
13. You Are So Beautiful
14. Seven Days
15. Feelin' Alright
Disc:2 (36:50)
JEFF BECK
1. Introduction
2. Star Cycle
3. The Pump
4. Definitely Maybe
5. Blue Wind
6. People Get Ready
7. Going Down
Disc:3 (65:53)
JIMMY PAGE
1. Introduction
2. Prelude
3. Who's To Blame
4. City Sirens
5. Boogie Mama
6. Midnight Moonlight
7. Stairway To Heaven
ALL-STAR FINALE
8. Layla
9. With A Little Help From My Friends
10. Good Night Irene (Ronnie Lane) *
11. Outro.
Eric Clapton - guitar / vocals
Jeff Beck - guitar
Jimmy Page - guitar
Andy Fairweather Low - guitar / vocals
Joe Cocker - vocals
Paul Rodgers - vocals
Chris Stainton - keyboards
James Hooker - keyboards
Jan Hammer - keyboards
Bill Wyman - bass
Fernando Saunders - bass
Charlie Watts - drums
Kenney Jones - drums
Simon Phillips - drums
Ray Cooper - percussion
* Ronnie Wood - guitar
STEREO SOUNDBOARD RECORDING
★ギフト・タイトル(一部レーベル限定)の対象品です。
Cow Palace, San Francisco, CA, USA 3rd December 1983 STEREO SBD(from Original Masters)
Madison Square Garden, New York, NY, USA 9th December 1983 STEREO SBD(from Original Masters)
【“三大ギタリスト揃い踏み”奇跡のステージをリアルに伝えるステレオ・サウンドボード録音の完全版!】
1983年にたった一度だけ、三大ギタリストが同じステージに立ち共演した“奇跡の”コンサート、ARMS。もはやロック界の伝説ともなっているコンサートですが、今回、イギリス在住の重鎮テーパーから、ARMSコンサートの衝撃のマスターが到着しました。三大ギタリストを含む、英米のベテランミュージシャンたちがアメリカで行なったARMSコンサートの最終公演地、ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデンでの12月9日のコンサートをメインに、欠落部分を12月3日のサンフランシスコ、カウパレス公演のソースで補填した、マスターVHSテープからデジタルコピーしたロウジェネレーションマスターです。当時この2日間は正式にビデオシューティングが行なわれましたが、オンエアされることはありませんでした。ミュージシャンの契約関係等の複雑な問題があったためと思われます。しかし当時この2日間の映像は関係者から流出し、VHSとして日本でも出回りました(MSG映像の方は、流出時点からクラプトンのセットは未収録でした)。その大元の関係者から流出したファーストジェネレーションVHSの音声をデジタルコピーしたものが、今回重鎮テーパーが提供してくれたマスターだったのです!今回、重鎮テーパーは、同じくイギリスでは有名な同僚テーパーからこのマスターを入手したとのことです(両日の音声がいつの時点で合体されたのかは不明です)。筋金入りの出所ゆえに、衝撃のマスターと呼ばせていただきました。
この音源そのものは、かつて「ARMS CONCERT U.S.A.」というタイトルの紙ジャケ3CDでリリースされたことがあります。しかし今回のマスターと聴き比べてみたところ、ドラムのシンバルやスネアのサウンドに顕著なように、既発盤にあった音の「滲み」や「ぼやけ」がまったくなく、クリアでダイナミックな音質でした。さすが、ロウジェネマスターというわけでした。ですので、既発盤をお持ちの方にもご注目いただきたいですし、お持ちでない方ならもちろん本作でARMSのアメリカンツアーの全貌を把握し、お楽しみにいただければと思います。
さて、A.R.M.S.コンサートとは、「ロックファンなら誰もが待望しながら、実現不可能と思われていたコンサート」でした。長年のブリティッシュロックファンの方なら、これがいかに歴史的な事だったのかご理解いただけると思いますが、そうでない方のためにも、イチからこのA.R.M.S.プロジェクトの経緯と概要をご説明していきましょう。
A.R.M.S.とは、「Action Research into Multple Sclerosis」の頭文字を取ったもので、直訳すれば「多発性硬化症への治療対策調査行動」となります。多発性硬化症は不治の病と言われ、時間の経過とともに身体じゅうの筋肉が硬化していき、終には不随意筋である心臓が止まり死に至ります。原因不明と言われ、遺伝体質にも関係なく突発的に発症する難病です。77年にこの病を発症した元フェイセズのベーシスト、ロニー・レインを救うため、この病気の治療研究機関への援助資金調達のためにロニーに所縁のあるミュージシャンたちが集まってコンサートを開き、その収益をすべて寄付したコンサートだったのです。
コンサートの企画開催に際しては、ロニー・レインの奥さんがロニーの親友ミュージシャンであるザ・フーのピート・タウンゼンドに援助を求めました。ところがこの時期のピートは、バンドの存続危機、家庭崩壊・離婚の危機に直面しており、そのストレスから逃れるためアルコールとドラッグの中毒に陥っているという状況でした。そのためピートはこの大役をロニーとの共通の友人でもあるエリック・クラプトンに振るべく話を持ちかけました。ロニーの身を案じたクラプトンがそれを快諾し、プロデューサーのグリン・ジョンズ(クラプトンのアルバム「SLOWHAND」や「BACKLESS」、ザ・フーの「WHO'S NEXT」やビートルズの「LET IT BE」の初期バージョンをプロデュースしたイギリス人)の協力を得てオーガナイズしたのがこのコンサートだったというわけです。
クラプトンは、人格者で誰にも愛されているロニーのためのコンサートであるならば、自身のバンドだけによるチャリティコンサートではなく、コンサートの趣旨に賛同する友人ミュージシャンを集めた豪華なコンサートでオーディエンスに喜んでもらおうと考え、普段では有り得ない出演者を募りました。目玉は自身とベック、ペイジを伴った「三大ギタリスト」+かつてブラインド・フェイスで共に活動したブリティッシュロック界のスター、スティーヴ・ウィンウッドの4枚看板でした。クラプトン自らが、歴代のヤードバーズのギタリスト三人の共演を望んだのです。それを支えるバックメンとして集まったのは、ローリング・ストーンズ、フェイセズのメンバーを始めとするブリティッシュロック界で長年活動してきた実力派のミュージシャンたちでした(メンバーの詳細はクレジットをご覧ください)。出演交渉はクラプトン自身とグリン・ジョンズが行いました。65年の一件(ペイジがクラプトンとのプライベートセッションの音源を無断でイミディエイト・レコードに提供した)以来、絶交していたクラプトンがペイジを誘ったことは驚くべきことでした。ベックとウィンウッドは即座に快諾。また、この話を聞きつけたロッド・スチュワートは自ら出演を申し出たのですが、フェイセズの末期に自身のソロ活動に注力し、一切バンドを顧みなかったロッドの行いに憤怒していたクラプトンが彼の申し出を断ったというエピソードもありました。
そうこうしてメンバーが結集したコンサートは1983年9月20日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行なわれ、第一部がクラプトンのセット、第二部がウィンウッドのセット、第三部がベックのセット、第四部がペイジのセット、そしてアンコールがオールスターによるセットという五部構成とされました。当時はまだ歩行が可能だったロニー・レインもアンコールで登場し、歌いました。そんな奇跡のコンサートを実現させた出演者たちは、ロックの激動時代を切磋琢磨して生き抜いてきた同志でもあり、旧知の仲であったため、当日のステージを全員が楽しんだそうです。そして誰からともなく、「もっとこれを続けたい」という声が出演者内部から発せられました。プロデューサーのグリン・ジョンズはすぐさまアメリカのプロモーターの重鎮ビル・グラハムに連絡を取りました。グラハムは即座にダラス、サンフランシスコ、L.A.、ニューヨークのホールをブッキングし、計9回のコンサートを実現したのです。これはロンドンでの公演に対して、「A.R.M.S. US TOUR」と呼ばれました。ここでA.R.M.S.関連のコンサート全日程を振り返ってみましょう。
●A.R.M.S.
・9月20日:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール(1公演)
・11月28日、29日:ダラス、リユニオン・アリーナ(2公演)
・12月1日、2日、3日:サンフランシスコ、カウパレス(3公演) ←★ココ★
・12月5日、6日:ロサンゼルス、ザ・フォーラム(2公演)
・12月8日、9日:ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデン(2公演) ←★ココ★
【ロンドンでの公演とはメンバーもセットリストも異なり、オフィシャル作品でも聴くことのできないパートを多く含む奇跡のコンサートの完全版】
このロンドンでのコンサートはロック史におけるエポック的なイベントであったことから、当時オフィシャルではVHSビデオとレーザーディスクでリリースされました。しかしソフトへの収録時間の問題から、ハイライト部分のみを編集したダイジェスト版としてリリースされたという背景がありました。それ以降DVDでリイシューされましたが、収録内容は初回のリリース時と変わっていません。ようやく2019年になって放送音源のリリース解禁により、このコンサートのCD化も実現しましたが、映像作品よりも収録曲は増えたものの、完全収録版というわけではありませんでした。一方、「A.R.M.S. US TOUR」ではロンドン公演に参加したスティーヴ・ウィンウッドが都合がつかず不参加となった代わりにジョー・コッカーが参加し、クラプトンとハウスバンドがバックを務めました。それにより当然コッカーのセットは彼のレパートリーとなり、ロンドン公演とは趣きを異にしました。さらにロンドン公演と趣向が異なったのは、ジミー・ペイジのセット中のStairway To Heavenでした。この曲の終盤でペイジがソロに突入するタイミングでクラプトンとベックがステージに登場し、ペイジからソロを引き継ぐ形で二人もソロを取ったのです。この意外な演出にアメリカのロックファンは狂喜しました。そしてアンコールも、コッカー最大のヒット曲With A Little Help From My Friendsがオールスターにより演奏されるという形に変わりました。つまり本作では、オフィシャル作品では聴くことのできない楽曲を多く聴けるということが最大のメリットなのです。そして音質の方は、素晴らしいステレオ・サウンドボードですから、オフィシャル作品に優るとも劣らないクオリティです。
【オフィシャル作品では聴くことのできない曲(オフィシャルCDとの比較)】
オフィシャルリリースされているロンドン公演の放送音源CDでは聴くことのできない曲が本作には多く含まれています。ロンドン公演のCDでは、エリック・クラプトンのセット、ジェフ・ベックのセット、ジミー・ペイジのセット、そしてオールスターによるアンコールは全曲がリリースされていますが、ウィンウッドに代わって参加したジョー・コッカーのセットが聴けないのは当然のことです。クラプトン、ベック、ペイジのセットでも曲が入れ替えられたり、追加されたりしています(ベックのセットでは、元マハビシュヌ・オーケストラのヤン・ハマーが参加しました)。
<クラプトンのセット>
・Who's Lovin' You Tonight
<ジョー・コッカーのセット>
・Don't Talk To Me
・Watching The River Flow
・Worried Life Blues
・You Are So Beautiful
・Seven Days
・Feelin' Alright
<ベックのセット>
・Definitely Maybe
・Blue Wind
・People Get Ready
・Going Down
<ペイジのセット>
・Boogie Mama
<アンコール>
・With A Little Help From My Friends
これほど多くのナンバーがオフィシャルCDには未収録だったのです。「A.R.M.S. US TOUR」はロンドン公演とは別物だったとさえ言えるでしょう。もちろんロンドン同様、甲乙付け難い三大ギタリストの個々のセットとロックファンが夢見た三人共演のシーンが聴きものです。クラプトンはロンドン同様のステージ進行で、ブルージーなプレイを披露しています。その後は、クラプトンとは正式には初共演となったジョー・コッカーをフィーチャー(厳密には75年のクラプトンのL.A.公演にコッカーが飛入りし、タンバリンを叩いたということがありましたが)。このセットではクラプトンがそのまま残り、全力でサポートしています。クラプトンが弾くギターをバックに歌うコッカーのソウルフルな熱唱が聴きものです。当時のジェフ・ベックは独自のフュージョン・ミュージックを確立した時代。アルバム「THERE AND BACK」のメンバーをバックにシャープかつワイルドなプレイを披露していますが、ロンドンとは異なり、ジェフ・ベック・グループ時代のナンバーも披露しているのがファンには嬉しいところです(ボーカルはアンディ・フェアウェザー・ロウが務めています)。ベックのバックバンドがそのまま残りサポートした、続くペイジのセットについては、クラプトンからの声掛けに喜んで参加した彼でしたが、当時のペイジはボンゾを失いZEPを解散させたショックからドラッグ中毒に陥り、その影響から指がまともに動かない状態でした。再起を賭けてサントラのソロアルバム「DEATHWISH II」をリリースしたばかりだったペイジは、本調子ではないものの、そのアルバムからのナンバーに加え、ZEPの名曲「天国への階段」をインストで演奏するというハイライトを作っています(前述したように、三大ギタリストの共演が早くもここで実現します。ボーカル曲は、これがきっかけでThe Firm結成に繋がったポール・ロジャースが友情出演で歌っています)。そしてオールスターのアンコールにて、三大ギタリスト(+コッカー)の奇跡の共演が実現します。バンマスがクラプトンだっただけに、彼のレパートリーが選ばれていますが、逆にLaylaの7連フレーズをベックが弾くという贅沢なシーンが現出するのは、このコンサートならではの妙味でしょう。後奏では三人でソロが回されます(ペイジはミストーンが目立ちますが)。最後にはロニー・レインが登場。クラプトンもよく取り上げたブリティッシュカントリー・トラッドソングGoodnight Ireneでボーカルを聴かせます。ここではロニー・ウッドも駆けつけて参加しています(ウッドが参加したのは最終日だけでした)。終演後には、プロモーターのビル・グラハムによる参加メンバーの紹介がありますが、盛り上がったロニー・レインが「今日で全員解雇だ!」と叫び、笑いを誘うシーンもあります。それを受けて、「(オーガナイザーの)グリン・ジョンズは?」と口を挟んでいるのはロニー・ウッドです。それに対し、レインは「グリン・ジョンズもクビ!」と叫んでいます。こんな面白いシーンも余すところなく収められています。この仲間たちのおかげもあって、ここから14年間生き長らえることができたロニー。ブリティッシュロック界の厚い友情をも感じることができる一大歴史的コンサートでした。
とにもかくにも結果的に三大ギタリストが同じステージに立ったという機会は後にも先にもこの時だけ。三大ギタリストが弾くLaylaやStairway To Heavenが聴けたのもこの時だけ。その歴史的なコンサートの高音質ステレオ・サウンドボードマスターを収録したのが本作です。この奇跡を永久に残すプレス3CDで心ゆくまで存分に味わい尽くしてください。
★★これは凄いです。
★ナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。
Disc:1 (63:03)
Cow Palace, San Francisco, CA, USA 3rd December 1983
ERIC CLAPTON
1. Introduction
2. Everybody Ought To Make A Change
3. Lay Down Sally
4. Wonderful Tonight
5. Rita Mae
6. Who's Lovin' You Tonight
7. Have You Ever Loved A Woman
8. Ramblin' On My Mind
9. Cocaine
Madison Square Garden, New York, NY, USA 9th December 1983
JOE COCKER
10. Don't Talk To Me
11. Watching The River Flow
12. Worried Life Blues
13. You Are So Beautiful
14. Seven Days
15. Feelin' Alright
Disc:2 (36:50)
JEFF BECK
1. Introduction
2. Star Cycle
3. The Pump
4. Definitely Maybe
5. Blue Wind
6. People Get Ready
7. Going Down
Disc:3 (65:53)
JIMMY PAGE
1. Introduction
2. Prelude
3. Who's To Blame
4. City Sirens
5. Boogie Mama
6. Midnight Moonlight
7. Stairway To Heaven
ALL-STAR FINALE
8. Layla
9. With A Little Help From My Friends
10. Good Night Irene (Ronnie Lane) *
11. Outro.
Eric Clapton - guitar / vocals
Jeff Beck - guitar
Jimmy Page - guitar
Andy Fairweather Low - guitar / vocals
Joe Cocker - vocals
Paul Rodgers - vocals
Chris Stainton - keyboards
James Hooker - keyboards
Jan Hammer - keyboards
Bill Wyman - bass
Fernando Saunders - bass
Charlie Watts - drums
Kenney Jones - drums
Simon Phillips - drums
Ray Cooper - percussion
* Ronnie Wood - guitar
STEREO SOUNDBOARD RECORDING