ERIC CLAPTON - L.A. FORUM 1994:DAT MASTER(2CD) [Beano-293]
ERIC CLAPTON - L.A. FORUM 1994:DAT MASTER(2CD)
[Beano-293]
販売価格: 3,800円(税込)
商品詳細
★在庫切れの場合取り寄せ(1週間で入荷)
★ギフト・タイトル(一部レーベル限定)の対象品です。
The Forum, Inglewood, CA, USA 3rd November 1994 STEREO SBD(from Original Masters)
UPGRADE!!!
【クラプトン全キャリア中ピークの一つ、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」最終章の大元サウンドボードDATマスター出現!】
先般より、当店が新たに獲得したネットワークの海外テーパーからのマスターを基に、クラブツアーの決定版「IRVING PLAZA 1994」3連作とアリーナツアーの決定版「Madison Square Garden 1994」3連作をリリースさせていただき、クラプトンファン、ブルースファンの皆様に大好評をいただいております。特に「IRVING PLAZA 1994 3rd Night」は、流通する他マスターすべてに含まれていた欠点が皆無の大元マスターであったこと、「Madison Square Garden 1994」3連作は国内初リリースの音源であったことで、画期的なリリースとなりました。クラプトンが94年〜95年に実施したオールドブルース以外は演奏しないという「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」のクラブとアリーナの2パターンの会場での音源は、同テーパーからさらに2つのDATマスター(ミルウォーキーとインディアナポリス)が提供され、しかもこの地方都市での公演のアンコールは一味違っていたことで、このツアー音源の充実度がさらに高まりました。これらにて、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナ&クラブツアー」の決定版の登場に終止符が打たれたかと思っておりましたところ、何と今度はお馴染みのイギリス在住の重鎮テーパーからそれらに対抗するかのように、新たなマスターが送られてきました。
それは、1994年11月3日、L.A.フォーラム公演のステレオ・サウンドボードソースのDATマスターです。今回の重鎮テーパーからのDATマスターは断じてエアチェックではなく、正真正銘のプレFMマスターでです。
実はこのステレオ・サウンドボードソースを収録した既発盤は過去に複数存在するのですが、本盤は、過去の既発盤で聴かれたようなイコライズ感のない、過去最高のリアル・サウンドボード・マスターです。これは、全てのクラプトン・ファン必聴の、本当にとんでもないレベルのサウンドです。この公演の既発盤をお持ちのコレクターの方にも、是非、この音の違いを聴いて頂きたく思います。マスター・ダイレクトの音の素晴らしさに、きっと、驚かれると思います。今回のDATマスターには、サウンドマンの不手際で録音の開始が遅れ未収録だったオープニングのMotherless Childも収録されていましたが、こちらはフィルモア公演のテイクと思われます。しかしながら、あまりにも自然に繋がっており、ちょっと聞いた感じでは、本編との違いが、全く感じられない高度な編集が施されています。ということで、最良の擬似完全版テイクと言ったところでしょうか。いずれにせよ、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」のステレオ・サウンドボード録音はこの日だけです。「IRVING PLAZA 1994」3連作や「Madison Square Garden 1994」3連作、ミルウォーキーとインディアナポリスをお楽しみいただいている方なら、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」で唯一存在するサウンドボードマスターを収録した本作もファンははずせません。
このツアーを題材として製作された、マーティン・スコセッシ監督によるオフィシャルリリースの映画とそのサントラCD「ナッシン・バット・ザ・ブルース」は知られていますが、それはクラブツアーを捉えたもので、スコセッシの意向により、映像の構成上実際のソングオーダーとは異なる形で収録されていた上に、コンサートの完全収録ではなかったこと、また会場がクラブであったことを考えると、より大勢のオーディエンスの感動を巻き起こしたアリーナツアーの本作も「IRVING PLAZA 1994」3連作同様に聴く価値の非常に高いものだと断言できます。
94年〜95年に実施された「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」は、クラプトンのキャリアにおいて神懸かり的に歌い、弾き捲ったツアーと評されるものでした。2年がかりで行なわれたこのツアーの全公演では一切の手抜きなし、全公演で弾き捲り、歌い捲り。余裕を持ち、リラックスしながらもブルースに体当たりのチャレンジをしたようなステージでした。彼にとって「ブルース」というものに対する答えを自ら出したとも言える「決意」を示したツアーであったと位置づけられます。
【クラプトンがブルースに回帰した訳】
本ツアーのタイトルレビューの繰り返しになりますが、なぜ94年というタイミングでクラプトンはブルースに回帰したのか?ということを推察したいと思います。それには彼の悲しい人生を辿らざるを得ません。91年3月、幼い息子を不慮の事故で亡くしたクラプトンは、精神的に人生のどん底に落ち込みました。しかしスタッフや友人ミュージシャンたちに励まされながらクラプトンは、その状態から亡き息子への想いとこれまでの自分の人生回顧を曲創作に向けるというカタルシスに転化させました。そしてその初披露の場となったMTV「アンプラグド」において、クラプトンは少年期から憧れプレイしてきたブルースも同時に演奏しました。そこで改めてブルースの本質に触れたクラプトンは、通常のツアーに復帰しながらも、翌93年には、恒例となっていた初頭のロイヤル・アルバート・ホール連続公演ではブルースだけでセットリストを組んだコンサートを行なうことを決意し、実行します。そして若い頃にはできなかった念願のブルースオンリーのアルバム「FROM THE CRADLE」のレコーディングを敢行したのです。それまでにもクラプトンは契約レーベルであるワーナーに対し、ブルースアルバムの制作を打診していましたが、「そんなものが売れるわけがない」と一蹴されてきました。ところがアルバム「UNPLUGGED」が空前の大ヒットを記録したことで、ワーナー側の態度が軟化、クラプトンへのボーナス的にブルースアルバムの制作を承認したということも追い風となりました。そして「FROM THE CRADLE」は何と「UNPLUGGED」に続き、全米アルバムチャートの1位を獲得するヒットとなったのでした。本場アメリカのリスナーもクラプトンのブルースを欲したのです。アルバム「FROM THE CRADLE」の実現を受けて、自身ではライブステージでもブルースを極めたいという意思を固めたのでしょう。この勢いを駆ってクラプトンが計画したのが、ライブでもブルースだけを演奏する「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」だったというわけです。幼い息子を失ったという精神のどん底において、自分を見失わないよう導いてくれたのがブルースだったと、クラプトンは気づいたのではなかったでしょうか。ブルースに魅せられた少年時代を思い出し、改めてブルースとそれを演じた先達に感謝するため、とことんブルースに回帰したのが「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」でした。このツアーに懸けたクラプトンの心意気は只ものではなかったと言えます。
【全編がハイテンション&聴きどころのステージ構成】
ここで「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」の日程をおさらいしておきますと、
<1994年>
≪9月13日「 FROM THE CRADLE」リリース≫
9月28日:ニューヨーク、ハマースタイン・ボールルームにてツアーリハーサルを映像収録。これは後にアメリカ、ヨーロッパ、日本で放映された。
10月3日〜11月4日:全米アリーナ・ツアー ←【ココ】
11月7日〜11月28日:全米クラブ・ツアー
<1995年>
2月15日〜3月7日:イギリス・ツアー
4月5日〜5月5日:ヨーロッパ・ツアー
8月28日〜9月24日:全米アリーナ・ツアーII
10月1日〜10月13日:ジャパン・ツアー
本作に収録された11月3日は、この「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」の最終章に当たっていたことがお分かりでしょう。当店が先般リリースしました「Madison Square Garden 1994 1st Night DAT Master」、「Madison Square Garden 1994 2nd Night DAT Master」、「Madison Square Garden 1994 3rd Night DAT Master」、「Indianapolis 1994 DAT Master」、「Milwaukee 1994 DAT Master」は、会場が序盤のニューヨークMSGから、地方へと巡業した行程を表してもいました。セットリストはMSGのパターンとほぼ同じでしたが、そこはライブアーティスト、クラプトンのこと、プレイは完全アドリブですので、同曲でもMSGとはまったく違うソロが聴けます。シッティングのアコースティックセットからスタンディングのエレクトリックセットに移行する中、その進行に連れてクラプトンとバンドの「熱」が急激に高まっていき、終盤では火を噴くように激しく情熱的な演奏が展開され、究極まで上り詰めたところでレギュラーセットが終了。レギュラーセットラストではピアノだけをバックに独唱し、エンディングはバンド総勢での感動的な演奏で締めるという意外なナンバーAin't Nobody's Businessでオーディエンスの心を震わせて終了、という構成は不変でした。前半は、アコースティックもしくは定型のリフで構成されたナンバーでのプレイのため、パターン化された演奏を手堅く決めている感じですが、中盤以降のギターソロが大々的にフィーチュアされるナンバーについては、ライブアーティストであるクラプトンの真髄を見せるように、完全アドリブで澱むことのない切れ味抜群の怒涛のフレーズを畳み掛けています。Someday After A Whileから3曲連続でプレイされるフレディ・キングコーナーでの流麗なソロも聴きものです。中でも特にFive Long Years以降の終盤での弾き捲りは凄過ぎます。本当によくぞここまで指が動くものだと感嘆させられます。しかもただの速弾きではなく、スピリットが乗っかっているクラプトンならではのフレーズなのです。この日の目玉は、Five Long YearsとGroanin' The Bluesです。それはもう聴いていただければご納得されるでしょう。Five Long Yearsでの凄まじいプレイと言ったら!言葉を失うほどです。またAin't Nobody's Businessも最高です!この曲は1922年に作られたもので、様々な歌手がカバーしたのですが、クラプトンは戦前の女性ブルース歌手ベッシー・スミスが1923年に歌ったバージョンを元にしています。「一文無しになろうが、海に飛び込んで自殺しようが、私のことは放っておいて」という、自らの不運な人生を嘆く内容をクラプトンは淡々と歌います。しかし最後にはバンド全体で感情を爆発させます。それは自暴自棄の叫びなのでしょうか、それともここからはクラプトンが、「自暴自棄になっちゃいけない。自分を大切にして。」と主人公を励ましているのでしょうか。そんな風にも取れるここでのプレイは素晴らし過ぎます。この日のこの曲でのソロは、またMSGとは趣きが異なります。並みのギタリストなら、パターン化したフレーズでやり過ごしそうなものですが、クラプトンはMSGとはまったく違うフレーズ構成でソロを弾いています。このあたりが、高度なテクニックと彼だけのセンスに裏付けられた非凡さの証明と言えるでしょう。このツアーでは、スタジオ録音したことがないブルースを多くプレイしましたが、この曲は特に印象深いものです。レギュラーセットのラストに持ってきたことを考えると、確実にクラプトンの何らかの意図があったと思われます。「
ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」は、肩に力が入りまくった「FROM THE CRADLE」に比べ、長丁場のコンサートでは曲数も多くなることもあって、そこはギアを入れ直すところ、少しシフトダウンしてリラックスするところ、と歌を含めて絶妙の緩急のバランスを呈示しています。繰り返しますが、Five Long YearsとGroanin' The Bluesでのトップギア&アクセル全開のプレイと歌唱は是非とも聴いていただきたいものです。さらにこのアリーナツアーでは、オープニングアクトに友人ギタリストであるジミー・ヴォーンのバンドを指名していたこともあり、アンコールではSweet Home Chicagoがプレイされ、ヴォーンが飛入り参加しています。これは、オープニングアクトのなかったクラブツアーにはなかった楽しみです。さらにここではMSGにはなかった演出があります。MSGでは、ヴォーン、アンディ、クラプトンのギターソロとジェリー・ポートノイによるブルースハープソロとクリス・スティントンによるピアノソロで構成されたセッションでしたが、この日は何とサックスソロもあって、その後にはヴォーンとクラプトンによる火を噴くインタープレイが延々と続きます。これがこれまでのどの公演よりも長い!こんな豪華なアンコールセッションは、ブルースの本場アメリカならではのことだったでしょう。ツアーを進めていくうちに、いよいよ最終章に際してクラプトンが「とことんやってやろうじゃないか」とノリノリで仕掛けた結果かもしれません。これも是非聴いていただきたいです。
またこのツアーでは、クラプトンはキャリア史上ワンステージでの使用ギター数としては最多記録となる10本ものギターを使い分けたことも特筆すべきことでした。それは、オリジナルのブルースアーティスト&レコーディングを重んじ、同じサウンドを出そうとしてのことでした。そのこだわりを整理してみますと、
(1)マーティン12弦-Motherless Child
(2)マーティン000-42-Malted Milk
(3)ドブロ-How Long Blues
(4)ギブソンL5-Kidman Blues、 County Jail
(5)ギブソン・バードランド(ブラウンサンバースト)-Forty Four
(6)フェンダー・ストラトキャスター(ブロンドフィニッシュ)-Blues All Day Long、Going Away、 Can't Judge Nobody、Five Long Years、Born Under A Bad Sign、Groaning The Blues 、Crossroads、Ain't Nobody's Business、 Sweet Home Chicago
(7)フェンダー・ストラトキャスター(ブラックフィニッシュ)-Standin' Around Cryin'
(8)ギブソン・バードランド(ブロンドフィニッシュ)-It Hurts Me Too、Blues Before Sunrise
(9)ギブソンES-335(ブラウンサンバースト)-Third Degree、Reconsider Baby、Sinner's Prayer
(10)ギブソンES-335(チェリーレッド)-Someday After a While、Tore Down、Have You Ever Loved A Woman、 Crosscut Saw
本作の極上音質なら、ギター毎のトーンも正確に捉えられています。クラプトンのギタートーンまで及んだこだわりを是非、各曲でお楽しみいただきたいと思います。「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」のさらなる決定版に本作が加わります!
ファンにはお馴染みの1994年LA公演のサウンドボードを、衝撃の「DATマスター」より、過去最高の音質でじっくりとお楽しみ下さい。
イギリス在住の重鎮テーパーも「The best sound ever!」と断言してる程の最高音質です。加工前の、リアル・マスター・サウンドをお楽しみ下さい。
★ナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。
Disc:1 (55:33)
1. Motherless Child
2. Malted Milk
3. How Long Blues
4. Kid Man Blues
5. County Jail Blues
6. 44 Blues
7. Blues Leave Me Alone
8. Standin' Round Crying
9. I'm Your Hoochie Coochie Man
10. It Hurts Me Too
11. Blues Before Sunrise
12. Third Degree
13. Reconsider Baby
14. Sinner's Prayer
15. I Can't Judge Nobody
Disc:2 (57:19)
1. Someday After A While
2. Tore Down
3. Have You Ever Loved a Woman
4. Cross Cut Saw
5. Five Long Years
6. Cross Road Blues
7. Groaning the Blues
8. Ain't Nobody's Business
9. Sweet Home Chicago*
Eric Clapton - guitar / vocals
Andy Fairweather Low - guitar
Chris Stainton ? keyboards
Dave Bronze - bass
Andy Newmark - drums
Jerry Portnoy - harmonica
Simon Clarke - baritone saxophone
Roddy Lorimer - trumpet
Tim Sanders - tenor saxophone
Jimmie Vaughan - guitar *
STEREO SOUNDBOARD RECORDING
★ギフト・タイトル(一部レーベル限定)の対象品です。
The Forum, Inglewood, CA, USA 3rd November 1994 STEREO SBD(from Original Masters)
UPGRADE!!!
【クラプトン全キャリア中ピークの一つ、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」最終章の大元サウンドボードDATマスター出現!】
先般より、当店が新たに獲得したネットワークの海外テーパーからのマスターを基に、クラブツアーの決定版「IRVING PLAZA 1994」3連作とアリーナツアーの決定版「Madison Square Garden 1994」3連作をリリースさせていただき、クラプトンファン、ブルースファンの皆様に大好評をいただいております。特に「IRVING PLAZA 1994 3rd Night」は、流通する他マスターすべてに含まれていた欠点が皆無の大元マスターであったこと、「Madison Square Garden 1994」3連作は国内初リリースの音源であったことで、画期的なリリースとなりました。クラプトンが94年〜95年に実施したオールドブルース以外は演奏しないという「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」のクラブとアリーナの2パターンの会場での音源は、同テーパーからさらに2つのDATマスター(ミルウォーキーとインディアナポリス)が提供され、しかもこの地方都市での公演のアンコールは一味違っていたことで、このツアー音源の充実度がさらに高まりました。これらにて、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナ&クラブツアー」の決定版の登場に終止符が打たれたかと思っておりましたところ、何と今度はお馴染みのイギリス在住の重鎮テーパーからそれらに対抗するかのように、新たなマスターが送られてきました。
それは、1994年11月3日、L.A.フォーラム公演のステレオ・サウンドボードソースのDATマスターです。今回の重鎮テーパーからのDATマスターは断じてエアチェックではなく、正真正銘のプレFMマスターでです。
実はこのステレオ・サウンドボードソースを収録した既発盤は過去に複数存在するのですが、本盤は、過去の既発盤で聴かれたようなイコライズ感のない、過去最高のリアル・サウンドボード・マスターです。これは、全てのクラプトン・ファン必聴の、本当にとんでもないレベルのサウンドです。この公演の既発盤をお持ちのコレクターの方にも、是非、この音の違いを聴いて頂きたく思います。マスター・ダイレクトの音の素晴らしさに、きっと、驚かれると思います。今回のDATマスターには、サウンドマンの不手際で録音の開始が遅れ未収録だったオープニングのMotherless Childも収録されていましたが、こちらはフィルモア公演のテイクと思われます。しかしながら、あまりにも自然に繋がっており、ちょっと聞いた感じでは、本編との違いが、全く感じられない高度な編集が施されています。ということで、最良の擬似完全版テイクと言ったところでしょうか。いずれにせよ、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」のステレオ・サウンドボード録音はこの日だけです。「IRVING PLAZA 1994」3連作や「Madison Square Garden 1994」3連作、ミルウォーキーとインディアナポリスをお楽しみいただいている方なら、「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」で唯一存在するサウンドボードマスターを収録した本作もファンははずせません。
このツアーを題材として製作された、マーティン・スコセッシ監督によるオフィシャルリリースの映画とそのサントラCD「ナッシン・バット・ザ・ブルース」は知られていますが、それはクラブツアーを捉えたもので、スコセッシの意向により、映像の構成上実際のソングオーダーとは異なる形で収録されていた上に、コンサートの完全収録ではなかったこと、また会場がクラブであったことを考えると、より大勢のオーディエンスの感動を巻き起こしたアリーナツアーの本作も「IRVING PLAZA 1994」3連作同様に聴く価値の非常に高いものだと断言できます。
94年〜95年に実施された「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」は、クラプトンのキャリアにおいて神懸かり的に歌い、弾き捲ったツアーと評されるものでした。2年がかりで行なわれたこのツアーの全公演では一切の手抜きなし、全公演で弾き捲り、歌い捲り。余裕を持ち、リラックスしながらもブルースに体当たりのチャレンジをしたようなステージでした。彼にとって「ブルース」というものに対する答えを自ら出したとも言える「決意」を示したツアーであったと位置づけられます。
【クラプトンがブルースに回帰した訳】
本ツアーのタイトルレビューの繰り返しになりますが、なぜ94年というタイミングでクラプトンはブルースに回帰したのか?ということを推察したいと思います。それには彼の悲しい人生を辿らざるを得ません。91年3月、幼い息子を不慮の事故で亡くしたクラプトンは、精神的に人生のどん底に落ち込みました。しかしスタッフや友人ミュージシャンたちに励まされながらクラプトンは、その状態から亡き息子への想いとこれまでの自分の人生回顧を曲創作に向けるというカタルシスに転化させました。そしてその初披露の場となったMTV「アンプラグド」において、クラプトンは少年期から憧れプレイしてきたブルースも同時に演奏しました。そこで改めてブルースの本質に触れたクラプトンは、通常のツアーに復帰しながらも、翌93年には、恒例となっていた初頭のロイヤル・アルバート・ホール連続公演ではブルースだけでセットリストを組んだコンサートを行なうことを決意し、実行します。そして若い頃にはできなかった念願のブルースオンリーのアルバム「FROM THE CRADLE」のレコーディングを敢行したのです。それまでにもクラプトンは契約レーベルであるワーナーに対し、ブルースアルバムの制作を打診していましたが、「そんなものが売れるわけがない」と一蹴されてきました。ところがアルバム「UNPLUGGED」が空前の大ヒットを記録したことで、ワーナー側の態度が軟化、クラプトンへのボーナス的にブルースアルバムの制作を承認したということも追い風となりました。そして「FROM THE CRADLE」は何と「UNPLUGGED」に続き、全米アルバムチャートの1位を獲得するヒットとなったのでした。本場アメリカのリスナーもクラプトンのブルースを欲したのです。アルバム「FROM THE CRADLE」の実現を受けて、自身ではライブステージでもブルースを極めたいという意思を固めたのでしょう。この勢いを駆ってクラプトンが計画したのが、ライブでもブルースだけを演奏する「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」だったというわけです。幼い息子を失ったという精神のどん底において、自分を見失わないよう導いてくれたのがブルースだったと、クラプトンは気づいたのではなかったでしょうか。ブルースに魅せられた少年時代を思い出し、改めてブルースとそれを演じた先達に感謝するため、とことんブルースに回帰したのが「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」でした。このツアーに懸けたクラプトンの心意気は只ものではなかったと言えます。
【全編がハイテンション&聴きどころのステージ構成】
ここで「ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」の日程をおさらいしておきますと、
<1994年>
≪9月13日「 FROM THE CRADLE」リリース≫
9月28日:ニューヨーク、ハマースタイン・ボールルームにてツアーリハーサルを映像収録。これは後にアメリカ、ヨーロッパ、日本で放映された。
10月3日〜11月4日:全米アリーナ・ツアー ←【ココ】
11月7日〜11月28日:全米クラブ・ツアー
<1995年>
2月15日〜3月7日:イギリス・ツアー
4月5日〜5月5日:ヨーロッパ・ツアー
8月28日〜9月24日:全米アリーナ・ツアーII
10月1日〜10月13日:ジャパン・ツアー
本作に収録された11月3日は、この「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」の最終章に当たっていたことがお分かりでしょう。当店が先般リリースしました「Madison Square Garden 1994 1st Night DAT Master」、「Madison Square Garden 1994 2nd Night DAT Master」、「Madison Square Garden 1994 3rd Night DAT Master」、「Indianapolis 1994 DAT Master」、「Milwaukee 1994 DAT Master」は、会場が序盤のニューヨークMSGから、地方へと巡業した行程を表してもいました。セットリストはMSGのパターンとほぼ同じでしたが、そこはライブアーティスト、クラプトンのこと、プレイは完全アドリブですので、同曲でもMSGとはまったく違うソロが聴けます。シッティングのアコースティックセットからスタンディングのエレクトリックセットに移行する中、その進行に連れてクラプトンとバンドの「熱」が急激に高まっていき、終盤では火を噴くように激しく情熱的な演奏が展開され、究極まで上り詰めたところでレギュラーセットが終了。レギュラーセットラストではピアノだけをバックに独唱し、エンディングはバンド総勢での感動的な演奏で締めるという意外なナンバーAin't Nobody's Businessでオーディエンスの心を震わせて終了、という構成は不変でした。前半は、アコースティックもしくは定型のリフで構成されたナンバーでのプレイのため、パターン化された演奏を手堅く決めている感じですが、中盤以降のギターソロが大々的にフィーチュアされるナンバーについては、ライブアーティストであるクラプトンの真髄を見せるように、完全アドリブで澱むことのない切れ味抜群の怒涛のフレーズを畳み掛けています。Someday After A Whileから3曲連続でプレイされるフレディ・キングコーナーでの流麗なソロも聴きものです。中でも特にFive Long Years以降の終盤での弾き捲りは凄過ぎます。本当によくぞここまで指が動くものだと感嘆させられます。しかもただの速弾きではなく、スピリットが乗っかっているクラプトンならではのフレーズなのです。この日の目玉は、Five Long YearsとGroanin' The Bluesです。それはもう聴いていただければご納得されるでしょう。Five Long Yearsでの凄まじいプレイと言ったら!言葉を失うほどです。またAin't Nobody's Businessも最高です!この曲は1922年に作られたもので、様々な歌手がカバーしたのですが、クラプトンは戦前の女性ブルース歌手ベッシー・スミスが1923年に歌ったバージョンを元にしています。「一文無しになろうが、海に飛び込んで自殺しようが、私のことは放っておいて」という、自らの不運な人生を嘆く内容をクラプトンは淡々と歌います。しかし最後にはバンド全体で感情を爆発させます。それは自暴自棄の叫びなのでしょうか、それともここからはクラプトンが、「自暴自棄になっちゃいけない。自分を大切にして。」と主人公を励ましているのでしょうか。そんな風にも取れるここでのプレイは素晴らし過ぎます。この日のこの曲でのソロは、またMSGとは趣きが異なります。並みのギタリストなら、パターン化したフレーズでやり過ごしそうなものですが、クラプトンはMSGとはまったく違うフレーズ構成でソロを弾いています。このあたりが、高度なテクニックと彼だけのセンスに裏付けられた非凡さの証明と言えるでしょう。このツアーでは、スタジオ録音したことがないブルースを多くプレイしましたが、この曲は特に印象深いものです。レギュラーセットのラストに持ってきたことを考えると、確実にクラプトンの何らかの意図があったと思われます。「
ナッシン・バット・ザ・ブルース・ツアー」は、肩に力が入りまくった「FROM THE CRADLE」に比べ、長丁場のコンサートでは曲数も多くなることもあって、そこはギアを入れ直すところ、少しシフトダウンしてリラックスするところ、と歌を含めて絶妙の緩急のバランスを呈示しています。繰り返しますが、Five Long YearsとGroanin' The Bluesでのトップギア&アクセル全開のプレイと歌唱は是非とも聴いていただきたいものです。さらにこのアリーナツアーでは、オープニングアクトに友人ギタリストであるジミー・ヴォーンのバンドを指名していたこともあり、アンコールではSweet Home Chicagoがプレイされ、ヴォーンが飛入り参加しています。これは、オープニングアクトのなかったクラブツアーにはなかった楽しみです。さらにここではMSGにはなかった演出があります。MSGでは、ヴォーン、アンディ、クラプトンのギターソロとジェリー・ポートノイによるブルースハープソロとクリス・スティントンによるピアノソロで構成されたセッションでしたが、この日は何とサックスソロもあって、その後にはヴォーンとクラプトンによる火を噴くインタープレイが延々と続きます。これがこれまでのどの公演よりも長い!こんな豪華なアンコールセッションは、ブルースの本場アメリカならではのことだったでしょう。ツアーを進めていくうちに、いよいよ最終章に際してクラプトンが「とことんやってやろうじゃないか」とノリノリで仕掛けた結果かもしれません。これも是非聴いていただきたいです。
またこのツアーでは、クラプトンはキャリア史上ワンステージでの使用ギター数としては最多記録となる10本ものギターを使い分けたことも特筆すべきことでした。それは、オリジナルのブルースアーティスト&レコーディングを重んじ、同じサウンドを出そうとしてのことでした。そのこだわりを整理してみますと、
(1)マーティン12弦-Motherless Child
(2)マーティン000-42-Malted Milk
(3)ドブロ-How Long Blues
(4)ギブソンL5-Kidman Blues、 County Jail
(5)ギブソン・バードランド(ブラウンサンバースト)-Forty Four
(6)フェンダー・ストラトキャスター(ブロンドフィニッシュ)-Blues All Day Long、Going Away、 Can't Judge Nobody、Five Long Years、Born Under A Bad Sign、Groaning The Blues 、Crossroads、Ain't Nobody's Business、 Sweet Home Chicago
(7)フェンダー・ストラトキャスター(ブラックフィニッシュ)-Standin' Around Cryin'
(8)ギブソン・バードランド(ブロンドフィニッシュ)-It Hurts Me Too、Blues Before Sunrise
(9)ギブソンES-335(ブラウンサンバースト)-Third Degree、Reconsider Baby、Sinner's Prayer
(10)ギブソンES-335(チェリーレッド)-Someday After a While、Tore Down、Have You Ever Loved A Woman、 Crosscut Saw
本作の極上音質なら、ギター毎のトーンも正確に捉えられています。クラプトンのギタートーンまで及んだこだわりを是非、各曲でお楽しみいただきたいと思います。「ナッシン・バット・ザ・ブルース・アリーナツアー」のさらなる決定版に本作が加わります!
ファンにはお馴染みの1994年LA公演のサウンドボードを、衝撃の「DATマスター」より、過去最高の音質でじっくりとお楽しみ下さい。
イギリス在住の重鎮テーパーも「The best sound ever!」と断言してる程の最高音質です。加工前の、リアル・マスター・サウンドをお楽しみ下さい。
★ナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。
Disc:1 (55:33)
1. Motherless Child
2. Malted Milk
3. How Long Blues
4. Kid Man Blues
5. County Jail Blues
6. 44 Blues
7. Blues Leave Me Alone
8. Standin' Round Crying
9. I'm Your Hoochie Coochie Man
10. It Hurts Me Too
11. Blues Before Sunrise
12. Third Degree
13. Reconsider Baby
14. Sinner's Prayer
15. I Can't Judge Nobody
Disc:2 (57:19)
1. Someday After A While
2. Tore Down
3. Have You Ever Loved a Woman
4. Cross Cut Saw
5. Five Long Years
6. Cross Road Blues
7. Groaning the Blues
8. Ain't Nobody's Business
9. Sweet Home Chicago*
Eric Clapton - guitar / vocals
Andy Fairweather Low - guitar
Chris Stainton ? keyboards
Dave Bronze - bass
Andy Newmark - drums
Jerry Portnoy - harmonica
Simon Clarke - baritone saxophone
Roddy Lorimer - trumpet
Tim Sanders - tenor saxophone
Jimmie Vaughan - guitar *
STEREO SOUNDBOARD RECORDING